スマートフォン向けゲームアプリ『東方LostWord(とうほうロストワード)』『グランドサマナーズ』の開発・運営を行う株式会社NextNinja創業者兼プロデューサーの山岸氏に、キュービックとの契約経緯やキュービックのパフォーマンスについてお話をお伺いしました。
※本作のキュービック制作クリエイティブ(一部)は こちら
目次
『東方LostWord』について
早速ですが、『東方LostWord』は、どういったゲームでしょうか?
東方Projectを原作とした、二次創作のRPGになります。
パブリッシングはグッドスマイルカンパニーさん、開発・運営はNextNinjaが行っています。
原作は弾幕シューティングゲームとなっていて、それをNextNinjaがRPGとして二次創作させて頂いたタイトルになります。
キュービックとの契約経緯
『東方LostWord』では、事前プロモーションからキュービックが関わらせて頂きました。
まず、このタイミングにおいて、キュービックをマーケティングのパートナーとして選んだ理由を教えて頂けますでしょうか?
一言で表すと“柔軟性”ですね。
NextNinjaは、『東方LostWord』の前に、『グランドサマナーズ』 (※1)というRPGタイトルを運営していて、キュービックさんにはグランドサマナーズからお世話になっています。
グランドサマナーズの運営で僕らがやりたいことに対して、柔軟に対応してくださる、かつ課題を一緒に共有できるパートナーだと思っていたので、『東方LostWord』でもご一緒させて頂くことになりました。
※1 グランドサマナーズ…山岸氏がプロデューサーとして手掛けるスマートフォン向け超本格王道RPG。パブリッシングは株式会社グッドスマイルカンパニー、開発・運営は株式会社NextNinjaが担当。
具体的に、どのような点において柔軟な対応が出来ておりましたでしょうか?
事前プロモーションでは、東方Projectを本当に好きな方々だけに『東方LostWord』を上手く届ける、というコンセプトでプロモーションを行いました。つまり、事前プロモーションの段階ではファン以外の方には訴求したくないと。
通常はそういう話を代理店さんにしても、あまり理解してもらえないことが多いのですが、キュービックさんは、そこをちゃんと理解して頂けたと思っています。
事前プロモーションでのキュービックとの関わり
事前プロモーションは、大成功だったかと思います。広告宣伝費を最小限に抑えて、ソーシャル施策を中心に展開し、Twitterフォロワーは25万人を突破、事前登録者数は50万人を突破しました。こちらの成功要因はどのように考えていらっしゃいますか?
3つありまして…
1つ目は、Twitterの更新を毎日18時に必ず行うこと。リリースする前に、お客さんに「我々が作るゲームってこういうゲームだよ」をお伝えしたかったんですね。
実際、その部分はキュービックも関わらせて頂きましたね。
はい、これは結構大変で僕らだけでは実現できなかったと思います。キュービックさんには、通常代理店さんにお願いするTwitter上のキャンペーン施策の実施だけでなく、公式アカウントの運用を、クリエイティブ制作から投稿作業まで、幅広くお手伝い頂きました。
2つ目は、内容です。Twitterで届ける内容をなるべく“アセットが残るもの”と考えて行いました。
アセットですか?
つまり、資産ですね。
タイトルにおける資産というのは、お客さんに喜んでもらう体験だったり、お客さんが欲しいと思うグッズだったり、お客さんが聴いて「いいな」って思ってくださる音楽だったり。
まさに、『ロストワードクロニカル』 (※2)のような。
※2 ロストワードクロニカル…『東方LostWord』の主題歌。原作:東方Project(上海アリス幻樂団)、原曲:東方妖怪小町、歌:いとうかなこ、編曲・作詞:コンプ(豚乙女)。
URL:https://www.youtube.com/watch?v=zf0_bHr5pe4
そうです。『ロストワードクロニカル』はリリース前から公開していましたが、今や300万再生(※インタビュー当時、2020年7月21日時点)を突破していますからね。
すごい盛り上がりです。
僕らは、広告とかプロモーションの重要な指標として“アセットが残るか”という考えで行っていて、そういったものを提供することが重要じゃないかなと思っています。
そして3つ目は、適切な広告運用ですね。
日次で、施策は上手く行っているか、上手く行っていない原因は何か、みたいなことを事前プロモーションの段階からずっと行っていました。
その部分もキュービックは関わらせて頂きました。ソーシャル施策を含めると、10ヶ月間ほどでしたでしょうか。
そうですね。ずっと毎日そればっかりやっていましたね(笑)。
WEB広告に振り切らずソーシャル施策に重点を置く、という戦略でしたね。
はい。何より、東方Projectを好きな方々が反応してくれたと思うんですね。
もともと、多くの東方Projectファンがいらっしゃるので、ファンの方々に、「こういうゲームが出るんだよ」を上手くお届け出来たかなと思います。
キュービックの評価
『東方LostWord』は2020年4月30日にリリースしました。リリース後においても、キュービックをプロモーションのパートナーに選んで頂いている理由を教えて頂けますでしょうか?
僕らの戦略を熟知している中で、キュービックさんなりのプロモーション施策を考えて実施してくださっていることですね。
ありがとうございます。『東方LostWord』のリリース後のプロモーションについて、キュービックをどのように評価されていますでしょうか?
期待通りのパフォーマンスだと思っています。というのも、僕らとやるのって結構大変だと思うんですよ(笑)。
どのような部分でしょうか?
僕らは、一般的には“良し”とされるWEBマーケティングを否定するところから戦略を考えます。要は、通り一辺倒じゃないことを実施したりします。
そうですね、非常に難易度の高い課題感をいつもご共有頂いております。
キュービックさんには日次、週次で課題を共有させて頂いて、
「僕らとしてはこう解決する」「キュービックとしてはこう解決します」みたいなディスカッションを通して、付き合って頂いています。
求められているものの基準の高さは、日々感じております。
こういった点に柔軟に対応してくださる代理店さんは、非常に少ないんじゃないかなと思います。
ありがとうございます。課題に向き合うために、代理店として、チームとして、僕らも変わっていかないといけないと。いつもその点に真剣に向き合わせて頂いております。
リリース後のプロモーションでのキュービックとの関わり
リリースしてわずか1ヶ月後で100万DL突破をアナウンスするなど、東方LostWordはリリース後も好調ですが、リリース後のプロモーションに関して、成功要因はどのように考えていらっしゃいますか?
リリース初期に関して言うと、本当に一般的な広告メニューで、東方Projectが好きな方々に、ちゃんとお届けすることを最重要にしていましたね。
そういった中、非常に緻密で効率的なデジタルプロモーションされていましたね。ここまで効率的なリリース後のプロモーション展開があるのかって言うくらい…
そうですね。クリエイティブやキャンペーンのタイミングを工夫したり…ありとあらゆることを行いましたね。
本当にありとあらゆる…(笑)
ソーシャルゲーム市場って本当に厳しいと思うんですよ。毎月のように新作が出て、毎月のようにサービス終了のタイトルが出ている。
僕が思ってるイメージでいうと、デジタルマーケティング…というか、アルゴリズムが優れ過ぎていると思っています。
優れ過ぎている、ですか?
はい。本当にテクノロジーが優れているので、広告を配信する際に、アルゴリズムで最適化すると、お客さんに届きやすくなっていると思います。
僕らは、ゆっくりSNS上でじわっと広がって届けばいいなと思っていたので、“マーケティングし過ぎない”ということは常に考えていましたね。
適度なデジタルプロモーションですね。
やり過ぎちゃうと、関心のない人まで集めちゃうこともあると思うんですよ。
僕らとしては、まず関心を持ってくださる方々にお届けして、コンテンツを楽しんでもらって、「面白い!」と言ってもらう。そこから伝播して欲しいと思っています。
デジタルマーケティング、数字の世界ではあるものの、定性的な部分もしっかり加味してハンドリングしていく必要がある、ということですね。
はい。要は、どんなお客さんに来てもらいたいか、ですよね。
そうですね。
それも、タイミングによってはお客さんが、「興味がある」「ゲームをプレイしてみたい」と思ってくれるタイミングもあるかもしれない。無理にアテンションを取りにいく必要はないと。
そうです。
…だから、広告運用でも厳しめの目標設定が…(笑)。
そうです(笑)。
頑張ります!
キュービックさんには、こういったプロモーションをちゃんと理解して、柔軟に対応してくださる点で非常に助かっています。
しっかり向き合っているからこそ、東方Projectのファンの方々にきちんとお届け出来ていると思っています。
インハウスとキュービックの関係
御社はインハウスと代理店を並走しておりますが、キュービックでのプロモーションを実施する理由を教えて頂けますでしょうか?
インハウスと代理店さんとの使い分けはとても大事だと思っていて、インハンスは“アセットが残るもの”を中心に実施しています。
具体例で言うと、東方LostWordのYouTube公式アカウントの『ロストワードクロニカル』をACで広告アセット指定する(Google広告経由でYouTubeへの広告掲載を試みる)ことで、広告経由でも更に視聴回数を伸ばす、などですね。
そうです。
単に広告として利用するだけでは、お客さんのアセットは残らないと思うんですね。インハウスでは、自身のチャンネルを立ち上げて、しっかりと自社のアセットが残るように設計する。
代理店さんには、僕らができない広告メニューへの出稿や、広告表現を行ったり、といった形で協力して頂くのが重要だと思っています。
代理店として求められている部分としては、他タイトルで人気のクリエイティブ動画のフォーマットだったりとか、インハウスでキャッチアップしづらいところですよね。
※本作のキュービック制作クリエイティブ(一部)は こちら
そうですね。
インハウスだと、どうしても情報が少ないので属人的になりがちなんですね。インハウスだけで進めていると弱くなるその部分を、キュービックさんにお手伝いしてくださるのはとてもありがたいです。
とんでもございません。こちらこそありがとうございます。
キュービックさんが色々な所で得た知見やノウハウを、僕らのインハウスに使うことができているので、インハウスも強くなり、非常に良い関係を築けていると思っています。
『グランドサマナーズ』でのキュービックのパフォーマンス
『グランドサマーズ』でも、キュービックはデジタルプロモーションやSNS運用に携わらせて頂いております。そちらについてもコメントを頂けますでしょうか?
『グランドサマナーズ』では、リリース後、しばらくしてからキュービックさんにお手伝い頂くことになりました。途中から別の代理店さんが既存のところと戦うのは、なかなか厳しい状況だったと思うんですね。
そうでした。
その中でも良いパフォーマンスを出して頂きました。
ありがとうございます。初めはプロモーションのみでしたが、今ではSNS運用や、その戦略立案などにも関わらせて頂いております。
SNS 運用ってとても大変ですよね。本来、自社で行うのがベターですが、大きなエネルギー・リソースが必要になりますので、キュービックさんにはとても助かっています。
クライアント・代理店という垣根を越えて、一体となってアプリ運営に加わらせて頂き、日々喜びを感じております。
一方で、業務の難易度は高いです。デジタルプロモーションとは違う領域ですので、SNS投稿用クリエイティブ制作1つとっても、我々も模索しながらアウトプットしているという状態です。
とても良いものを作って頂いていますよ。動画制作の会社さんは他にも何社かありますが、キュービックさんはその中でもトップレベルだと思います。
ゲーム自体を面白くする前提を忘れてはいけませんが、その前に如何に面白いゲームであるかを正しく伝えることが重要になるので、僕らとしても嬉しい限りです。
ありがとうございます!グラサマファンの皆様に喜んでもらえるよう、今後も努めてまいります。
<聞き手=小池 徹 / 編集=小池 徹、森山 竣太 / 撮影=矢島 顕太郎>
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